日本の学生スポーツは、
年齢が上がるにつれて
その正念場が寒い季節に集中している気がしてならぬ。
野球が春夏なのは皆様にもお馴染みだけれども、
サッカーの小学生や中学生大会は、決勝戦が真夏のど真ん中だし、
インターハイもまた、夏の最中に催されていて。
体力があるからとみなされているのか、
それとも長い長い夏休みがあるからなのか。
どっちにしてもあの途轍もなく暑い最中に、
全身全霊を込めて、
一度しかない学生時代を費やす全国大会があるのは、
果たしていかがなのだろか。
自分が年をとってしまったから過酷だと思えるだけのこと、
当事者の皆様は、さしたる負担じゃないない、
これくらい克服できなくて真の強さはなしとの覚悟、
きっちり固めておいでなのだろか。
……などという、一丁前な物言いを連ねたものの。
「冬場は冬場で、
身体にエンジン掛かるまでに時間がかかって
大変なんだっての。」
判って言うとんのかこの野郎と、
金髪吊り目の小学生から蹴っ飛ばされそになりましたので。
ＭＣはここらで退場いたしましょう。(ひやひや…)
◇◇
「横になっていると、鼻が詰まってくるの。
そいでね、反対側を向くとそっちのお鼻も詰まるから、
寝てられなくってえいしょって起っきして。
えいってお鼻かんだら頭がじんじんて痛くなるから、
起きてられなくて寝んねすると…」
「またぞろ鼻が詰まってくるんだな？」
そーなのと頷く仕草も頭に響くのか、
うににと唸って、まとまりの悪い髪ごと小さな両手が頭を押さえ込む。
こちらのおちびさんたちにとっても冬場の一大イベント、
日本のアメフト世界の頂上決戦、
大学生の日本一と社会人の日本一とが雌雄を決する
“ライスボウル”が華々しくも開催されて。
関西開催の甲子園ボウルと違い、こちらは東京ドーム開催だったので、
やったご近所だと応援に行ったはよかったが。
ついでに言えば、久方ぶり、学生側が勝ったので、
それもまた嬉しい結果でワクワクと途轍もなく盛り上がったものの。
行き来の道なりがこの寒波の真っ只中だったことが今頃響いたか、
小さなセナくん、いきなり熱を出して引っ繰り返ってしまったらしい。
『インフルエンザではないんですって。』
風邪だって立派に大変な病気ではあるけれど、
それでもね、大人しく養生していれば少しずつ治まるから安心と、
お母様も安堵なさっておいでで。
今日は熱も下がったからということで、
見舞いに来た妖一くんもちょっとだけという条件付での
ご対面を許されて。
「インフルじゃなくてもうつるもんね。」
「まあ、それもあるんだろうが。」
それより何より、
見舞いってのは案外と病人の側も疲れるからだってのと。
こちらさんもまた
相変わらず子供らしからぬ見解を胸のうちにて転がしつつ、
「で？ 進の奴は見舞いに来たんか？」
「ん〜ん。」
かぶりを振った途端に頭痛が襲ったか、
いたいいたいと頭を抱えるおちびさんを
ほれほれと手際よく寝かしつけ、
「なんだそりゃ。応援に行って拾った風邪だってのによ。」
ちょみっと憤然としたお声になった妖一くんだったが、
“そのっくらいは奴でも判るよなぁ。”
可愛いセナ坊、
進さんが勝ちますようにと好きなもの断ちをしていたとか言ってた
とかいう話も聞いている。
だから、全部の日程が終ったんなら、
向こうからだって逢いに来ていいはずなのにね。
風邪を引いた話も伝わっているのだろうに…と想いが至ったのとほぼ同時、
あの朴念仁が気を遣うとも思えねぇが、
桜庭とかお姉さんとかが止めたんかなと、
その周囲の気のつく人たちを思い起こしておれば、
「あんね？ 逢いには来てないけど、メールでお話してるんだよ？」
ふっかふかな頬を真っ赤にし、えへへぇと嬉しそうに笑ってから、
枕元の携帯電話を見やって見せて、
「セナが元気になったらね、どこへでも連れてってくれるって。
遊園地でもすいぞっかんでも、温室動物園でも良いぞって。」
だからね、あのね、今度はセナがばんばって治さないといけないのと、
そりゃあ嬉しそうに笑うものだから。
「…そりゃあまた、ご馳走さんでした。」
へっくちんと愛らしいくしゃみをしちゃった坊やに
ごすすと抜き取ったティッシュを渡しつつ、
ははぁさいですかと、微妙に呆れた小悪魔坊やだったのは言うまでもなくて。
まだまだ寒さは続くそうですが、
早く元気になってねと、窓へさす明るい陽がほこほこと笑っているようだった
七草の昼下りでございます。
〜Ｆｉｎｅ〜 11.01.07.
＊ええもう、
しっかりと風邪を拾ってしまったもーりんですのでそのお話を。
ここんとこ、ちょっとボーっとするくらいで立ち直ってたのが、
今回は本格的みたいでして。
咳と鼻水が止まらず、体の節々痛におそわれてます。
歯医者に行きそびれたのが口惜しいです。
皆様もどうかお気をつけて。
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